『スナックバス江』に学ぶシリーズ④ 笑いでつながる夜 ― スナックに溢れるユーモアの力
スナックには不思議と笑いが集まるものですが、今回はユーモアが生む居心地良さの理由を紐解きます。
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Edit & Photo : 梅ちゃん
スナックに入ると最初に聞こえるもの
スナックのドアを開けた瞬間、耳に入ってくるのはカラオケの歌声と、どこか力の抜けた笑い声です。お酒の力も確かにありますが、それ以上に場を和ませているのは、誰かが放つ何気ない一言や、それに重なる小さなツッコミです。『スナックバス江』を読んでいると、スナックという空間が笑いを前提に回っていることに気づかされます。深刻になりすぎない、でも冷たくもない、その絶妙な空気が最初から流れているのです。
スナックの笑いは身近で小さい
スナックで生まれる笑いは、大げさなものではありません。「その歌、キー高すぎじゃない?」「今日のネクタイ派手だね」といった軽口が、場の緊張をふっとほどきます。『スナックバス江』でも、特別なギャグではなく、日常のズレや違和感を拾った笑いが積み重なっています。身近だからこそ、誰もが参加しやすく、知らない人同士でも自然に距離が縮まっていくのです。
ママの一言が空気を救う瞬間
スナックのユーモアを支えているのは、やはりママの存在です。漫画の中でも、ママがさらりと放つ一言で、場の雰囲気が一気に変わる場面が何度も描かれています。一見きつく聞こえる言葉でも、不思議と笑いに変わるのは、そこに悪意がないからです。実際のスナックでも、ママのユーモアは場を壊さず、相談や自慢話をちょうどいい温度に戻してくれます。筆者の経験上、空気が重くなりかけた夜ほど、ママの一言で救われる場面をよく目にします。
笑いが人を巻き込む力
スナックの面白さは、笑いが連鎖していく点にあります。誰かが冗談を言い、それに別の人が乗っかり、さらに別の誰かがツッコミを入れる。『スナックバス江』の常連たちのやり取りは、その縮図のようです。こうした笑いのやり取りは、特定の人だけのものではなく、場にいる全員が少しずつ参加できる余白を残しています。その余白こそが、スナックの居心地の良さを生み出しているのです。
まとめ:小さな笑いが夜をつなぐ
スナックの笑いは、人を笑わせるためのものではなく、同じ空気を共有するためのものです。『スナックバス江』が描くように、ママの一言や常連の軽口が積み重なり、知らない人同士でも自然につながっていきます。大声で笑う必要はありません。小さな「クスッ」がいくつも重なることで、「また来たい夜」が生まれます。もし日常に少し余裕がほしいと感じたら、スナックの扉を開いてみてください。そこにはきっと、笑いでつながる夜があなたを待っています。
梅ちゃん/スナック経営者/スナック愛好家(スナッカー)/メディアライター
スナックをこよなく愛する梅ちゃん。これまでに巡ったスナックは1,000軒以上にのぼり、現在は自身でも一店を切り盛りするスナックの達人。 経営で培ったリアルな知見も武器に、スナック文化の奥深い魅力をわかりやすく伝えていきます。